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20 血染めのボール 備 考
王 貞治

早稲田実
(東 京)
世界のホームラン王は、早稲田実の投手(2年生エース)として昭和32年春を制している。左中指の爪を割りながら血染めのボールで完投。紫紺の大旗が箱根の山を越えた。

3試合連続完封
初戦の寝屋川(大阪)を10奪三振の1安打完封1対0、準々決勝も柳井(山口)を11奪三振・無四球の完封4対0、準決勝も久留米商(福岡)を無四球で完封6対0、見事な3試合連続の完封で決勝の高知商戦にコマを進めた。しかし、王をアクシデントが襲う。大会中に左中指の爪を割り、準決勝から血染めのピッチングが続く苦しい展開だった。

▼昭和32年選抜大会・2回戦 (早実)王貞治 (寝屋)島崎武久
早 稲 田 実.000 010 000=1
__.000 000 000=0

▼昭和32年選抜大会・準々決勝 (早実)王貞治 (柳井)友歳克彦、遠井吾郎
早 稲 田 実.001 020 010=4
___.000 000 000=0

▼昭和32年選抜大会・準決勝 (早実)王貞治 (久留)手島征男、安山信彦
早 稲 田 実 040 200 000=6
久 留 米 商 000 000 000=0

血染めの決戦
決勝の高知商戦、初回2死から早稲田実が内山の三遊間安打と4番・王の左越二塁打、さらに柿崎の中前打で2点を先制。2回にも早稲田実が森田の四球から細田・堀江の連打で1点を追加。さらに5回にも飯田のタイムリー等で2点を追加し、5対0とリードする。高知商は6回、先発・小松敏宏(俊広、のち巨人)が降板。救援した上島投手が踏ん張り、迎えた8回、高知商が先頭打者・刈谷の安打を足掛かりに2死満塁とし、連続タイムリーで3点を返したが反撃もここまで。王にとっては4試合連続完封の大会タイ記録まであと2イニングに迫っていたが、大会35イニング目に初失点を奪われた。高知商の小松も指のマメを潰していたことから、血染めの決戦と称された。紫紺の大旗が箱根の山を越えた。

▼昭和32年選抜大会・決勝 (早実)王貞治 (高知)小松敏宏、上島武正
早 稲 田 実.210 020 000=5
__.000 000 030=3
※早稲田実は初優勝。

延長11回ノーヒットノーラン
32年夏も甲子園出場を果たし、初戦(2回戦)で春に続き再び寝屋川と対戦。平岡恵一郎との息詰まる投手戦は9回を終わっても両軍無得点(寝屋川は無安打無得点)のまま延長戦に突入した。延長11回を投げ抜きノーヒットノーランを達成、スコアも同じ1対0だった。準々決勝は、この大会で準優勝した法政二(神奈川)の延藤謙吉投手に3安打に抑え込まれて1対2で惜敗、春夏連覇の夢が途切れた。

▼昭和32年選手権大会・2回戦 =延長11回= (早実)王貞治 (寝屋)平岡恵一郎
早 稲 田 実.000 000 000 01=1
__.000 000 000 00=0

▼昭和32年選手権大会・準々決勝 (早実)王貞治 (法政)延藤謙吉
早 稲 田 実.100 000 000=1
__.002 000 00X=2

2試合連続アーチは当時の選抜大会記録
33年春も連続出場、初戦は御所実(奈良)との接戦を4対3で制したが、迎えた準々決勝、この大会で優勝した済々黌(熊本)に5対7で敗退、選抜連覇の夢も途切れる。この試合で、王は済々黌のエース城戸博投手から右翼席に特大の本塁打を放って非凡な打撃センスを披露している。御所実との初戦で左翼ラッキーゾーンへ放った本塁打に続く2試合連続アーチとなり、平成13年(2001年)に東福岡の下野輝章選手が3試合連続の記録を達成するまでの選抜大会記録だった。なお、王にとって最後の33年夏は、東京都予選決勝で明治に敗れて甲子園出場は阻まれている。

甲子園での投手成績
大 会スコア対戦相手備 考
昭和31年夏1回戦○02-1____登板なし (大井○7安打完投)
2回戦01-8__王 (先発) -大井-王
昭和32年春1回戦01-0__完封勝利(1):1安打10奪三振
準々決勝04-0___完封勝利(2):5安打11奪三振
準決勝06-0久 留 米 商完封勝利(3):4安打6奪三振
_05-3__完投勝利:6安打7奪三振 (選抜初優勝)
昭和32年夏2回戦02-0__完封勝利(4):【ノーヒットノーラン】
8奪三振 (延長11回)
準々決勝01-2__完投:5安打6奪三振
昭和33年春2回戦04-3__完投勝利:5安打5奪三振
準々決勝05-7__王 (先発) -河原田

世界のホームラン王
プロ野球の巨人に入団して打者に転向した後の王の活躍ぶり、残した栄光の記録の数々はいうまでもない。ここには書ききれない長文になるので割愛するとして、代わりに年度別打撃成績を記しておく。







































195994222193183171761251241372.161.262.316
6013050242649115193171917116755101.270.375.448
6112747139650100256131765310643372.253.358.444
6213458649779135282382818527291299.272.376.565
6314060947811114630540306106212312664.305.452.640
6414059947211015124055340119511920381.320.456.720
6513557542810413819142285104313829658.322.490.666
6612954939611112314148283116414241751.311.495.715
671335664269413922347308108313030765.326.488.723
68131580442107144280493191196121181072.326.475.722
6913057645211215624044312103811112561.345.472.690
70129553425971382404730393311924648.325.476.713
711305654349212018239259101512117565.276.435.597
7213057245610413519048298120210818643.296.435.654
★7313056042811115218051323114412438441.355.500.755
★7413055338510512818049293107215845844.332.532.761
75128523393771121403322596612327162.285.451.573
761225364009913011149290123912527245.325.479.725
7713057043211414015050305124612616637.324.477.706
7813056644091132200392691181111417143.300.436.611
7912050640773116150332308158910548.285.415.565
801295274445910510030205848728347.236.342.462
合計283111866925019672786422258685862217010023904271141319.301.446.634

日本記録.リーグ最高.★三冠王
昭和31年夏=2回戦
昭和32年春=優 勝
昭和32年夏=ベスト8
(対寝屋川戦=ノーヒットノーラン)
昭和33年春=ベスト8

甲子園通算成績
 6勝3敗
 選_抜5勝1敗
 選手権1勝2敗

巨人
生涯通算868本塁打<世界記録>
シーズン55本塁打 (昭和39年)
1試合4打席連続本塁打 (昭和39年)
13年連続本塁打王
2年連続三冠王 (昭和48年/49年)

背番号1=巨人の永久欠番

巨人監督
→ダイエー/ソフトバンク監督

昭和52年に国民栄誉賞
平成6年に野球殿堂入り
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