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4 平成の怪物 備 考
松坂 大輔

横 浜
(神奈川)
嶋清一(海草中)以来、史上2人目の選手権決勝ノーヒットノーラン、史上5度目の春夏連覇。150kmの速球とスライダーで近年の高校野球では図抜けた存在感を示した。

平成の怪物・松坂大輔は、平成10年春、関西の強豪・報徳学園(兵庫)を相手に最速151kmの豪速球で甲子園デビューを飾る。最終回、投球が単調となったところを報徳・米田、鞘師に打たれて2点を失ったが6対2で初戦を突破した。3回戦は東福岡の村田修一投手と投げ合い、中盤まで0対0が続いたが、6回松坂自身のタイムリーで先制すると8回には後藤武敏の本塁打で加点、結局13奪三振の2安打完封、3対0で勝利。準々決勝の郡山(奈良)も被安打5の連続完封で4対0、準決勝進出を決めた。

史上最強・PL中村監督の勇退
準決勝は、この大会で勇退を決めている中村順司監督率いるPL学園(大阪)との大一番だ。前の試合まで通算58勝9敗、春3回、夏3回の計6回の全国制覇を達成している名実ともに史上最強監督である。松坂は6回、満塁で二塁打を浴びて2点の先制を許した。一方、PL学園の先発・稲田学投手に7回まで抑えられていた横浜打線が8回に反撃、中村監督が動いてエース上重聡投手にスイッチ。しかし1死二三塁で松坂の三塁ゴロを処理したサード古畑の送球が三塁走者の背中にあたり二者が生還し2対2の同点。9回、無死一三塁から加藤がウエストボールに飛びつきスクイズ成功、決勝点を挙げた。

▼平成10年選抜大会・準決勝 (横浜)松坂大輔 (PL)稲田学、上重聡
PL浜 000 000 021=3
PL学園 000 002 000=2

決勝も大阪の関大一、好投手・久保康友との投手戦となる。横浜1点リードの7回、柴武志と松坂の三塁打に小山良男の犠飛を絡めて2点を追加、松坂が4安打完封して3対0、まず春を制した。横浜の選抜大会Vは永川英植投手(ヤクルト)を擁して初優勝した昭和48年以来25年ぶり2回目。

▼平成10年選抜大会・決勝 (横浜)松坂大輔 (関一)久保康友
_浜 010 000 200=3
関大一 000 000 000=0
※横浜は25年ぶり2回目の選抜大会V。

最後の夏
平成10年夏、松坂にとって最後の夏。初戦の柳ヶ浦(大分)は、内野敵失で1点を許したものの3安打完投で6対1。2回戦は鹿児島実が相手。初戦の八戸工大一戦でノーヒットノーランを達成した杉内俊哉投手(ダイエー)に中盤まで抑えられるが、8回に松坂の2ランなど5長短打を集めて5点を奪い、松坂は無四球・5安打で三塁を踏ませない好投で完封6対0。3回戦の星稜(石川)戦は、小池正晃の先頭打者アーチで先制すると米澤馨士投手から小刻みに得点を奪い、松坂が13奪三振、散発4安打に抑え、2試合連続の完封5対0。

延長17回の名勝負
準々決勝は、春の選抜で唯一の接戦を演じたPL学園とふたたび対戦、近年まれに見る名勝負となった。松坂が球種を読まれて試合は点の取り合いとなり5対5の同点で延長戦へ。延長11回表、柴のタイムリーで勝ち越すが、その裏、松坂が大西宏明にタイムリーを許して再び同点6対6。16回表に加藤重之の内野ゴロで勝ち越すが、その裏、一塁走者と一塁手小池が交錯する間に三塁走者に帰られて、また同点7対7。17回表二死から遊撃エラーで走者が出た後に常盤良太が右中間スタンドに勝越し2ランを放ち、3時間37分にわたる死闘にピリオドが打たれた。

▼平成10年選手権大会・準々決勝 =延長17回= (横浜)松坂大輔 (PL)稲田学、上重聡
PL浜 000 220 010 010 000 12=9
PL学園 030 100 100 010 000 10=7
※この試合の詳細スコアシートは「 名勝負&甲子園戦法」へ

奇跡の明徳義塾戦
迎えた準決勝の明徳義塾戦では信じられない奇跡を見た。前日の250球で疲労の見える松坂に替わり、控えの2年生投手・袴塚健次が今大会初登板。中盤に明徳の藤本敏也と谷口和弥に本塁打を浴びて4失点。代わった斉藤弘樹も2点を失い、横浜打線は寺本四郎投手に抑え込まれて8回表の段階でスコアは0対6。誰もが横浜の連覇の夢は破れたと思った。ところがここから奇跡のドラマが始まる。8回裏、後藤と松坂のタイムリーで横浜が2点を返したところで、明徳義塾は好投の寺本に替えて高橋一正投手をマウンドに送ったが、試合の流れが変わった。パスボールで3点目、佐藤勉のタイムリーで4点目、4対6と2点差に攻め寄り、9回表から横浜は松坂を投入、疲れを見せず速球は146kmを記録した。たった1イニングのエースの力投が横浜ナインの勝利への執念を呼び起こし、9回裏の攻撃に移っていく。2安打に犠打野選を絡めて、無死満塁に。続く後藤の中前タイムリーでついに6対6の同点。あわてた明徳義塾が寺本を再度マウンドに戻したが、柴が二塁後方へ劇的なサヨナラ打、7対6で横浜の決勝進出が決定した。スローモーションのように打球がセンターに抜けて行くのが見えた瞬間、寺本ら明徳ナインはその場に崩れ落ち、うずくまり動かない‥‥。甲子園に棲む魔物が、筋書きのないドラマをまたひとつ作り出した。

▼平成10年選手権大会・準決勝
(明徳)寺本四郎、高橋一正、寺本 (横浜)袴塚健次、斉藤弘樹、松坂大輔

明徳義塾 000 131 010=6
浜横浜 000 000 043X=7

決勝戦ノーヒットノーラン
迎えた決勝戦では、またまた凄いことが起きた。4回、松本の本塁打で先制し、5回と8回にも追加点を奪い3対0とすると、投げては松坂が、嶋清一(海草中)以来の史上2人目、59年ぶりの決勝戦ノーヒットノーランを達成。同時にこの瞬間、横浜の春夏連覇が決まったのである。松坂・横浜は、予選を含む公式戦41連勝で参加4102校の頂点に立った。

▼平成10年選手権大会・決勝 (京都)古岡基紀 (横浜)松坂大輔
京都成章 000 000 000=0
浜横浜 000 110 01X=3
※横浜は18年ぶり2回目の選手権大会V(春夏連覇)。

松坂・横浜の公式戦41連勝
日付球 場 スコア対戦校松坂の登板
《平成9年秋季ブロック予選〜神奈川県大会》登板8試合 / 7勝0敗 / 防御率1.58 / 投球回数57
8.23 (横浜高長浜) ◯11-1 (7回コールド)市ヶ尾先発― 3回
8.24 (横浜高長浜) ◯10-0 (7回コールド)永取沢― ―
8.26 (横浜高長浜) ◯14-4 (5回コールド)鶴見工完投◯ 5回
9. 7 (横浜高長浜)2回戦◯4-3藤嶺藤沢完投◯ 9回
9.13 (横浜高長浜)3回戦◯14-0 (5回コールド)茅ヶ崎西浜完封◎ 5回
9.20 (保土ヶ谷)4回戦◯8-4東海大相模 完投◯ 9回
9.28 (大和引地台)準々決勝◯7-1川崎北先発◯ 8回
10. 4 (平 塚)準決勝◯7-1横浜商完投◯ 9回
10. 5 (平 塚)決 勝◯9-0日大藤沢完封◎ 9回
《平成9年秋季関東大会》登板3試合 / 3勝0敗 / 防御率0.78 / 投球回数23
11. 3 (平 塚)準々決勝◯11-1 (6回コールド)水戸商完投◯ 6回
11. 4 (平 塚)準決勝◯9-0 (7回コールド)浦和学院完封◎ 7回
11. 5 (平 塚)決 勝◯2-1 (延長10回)日大藤沢完投◯ 10回
《平成9年明治神宮大会》登板3試合 / 3勝0敗 / 防御率0.67 / 投球回数27
11.16 (神宮第二)2回戦◯5-1豊田西完投◯ 9回
11.17 (神宮第二)準決勝◯5-2国士舘完投◯ 9回
11.19 (神 宮)決 勝◯5-3沖縄水産完投◯ 9回
《平成10年センバツ大会》登板5試合 / 5勝0敗 / 防御率0.80 / 投球回数45
3.28 (甲子園)2回戦◯6-2報徳学園完投◯ 9回
4. 3 (甲子園)3回戦◯3-0東福岡完封◎ 9回
4. 5 (甲子園)準々決勝◯4-0郡 山完封◎ 9回
4. 7 (甲子園)準決勝◯3-2PL学園完投◯ 9回
4. 8 (甲子園)決 勝◯3-0関大一完封◎ 9回
《平成10年春季神奈川県大会》登板3試合 / 1勝0敗 / 防御率4.91 / 投球回数11
4.18 (保土ヶ谷)3回戦◯10-0 (5回コールド)柏 陽― ―
4.26 (相模原)4回戦◯12-2 (7回コールド)川崎北― ―
4.29 (相模原)準々決勝◯4-0慶 応完了― 2回
5. 4 (相模原)準決勝◯4-0横浜商完了― 2回
5. 5 (相模原)決 勝◯17-8東海大相模先発◯ 7回
《平成10年春季関東大会》登板2試合 / 2勝0敗 / 防御率0.00 / 投球回数22
5.17 (大宮市営)2回戦◯3-0埼玉栄完封◎ 9回
5.19 (大宮公園)準々決勝◯1-0八千代松陰― ―
5.20 (大宮公園)準決勝◯6-5坂戸西― ―
5.20 (大宮公園)決 勝◯1-0 (延長13回)日大藤沢完封◎ 13回
《平成10年東神奈川大会》登板6試合 / 3勝0敗 / 防御率1.13 / 投球回数24
7.18 (平 塚)2回戦◯6-0神奈川工完了― 1回
7.21 (横 浜)3回戦◯10-0 (6回コールド)浅 野― ―
7.22 (大和引地台)4回戦◯10-0 (5回コールド)武 相完封◎ 9回
7.25 (保土ヶ谷)準々決勝◯12-0 (7回コールド)鶴見工― ―
7.26 (横 浜)準決勝◯25-0横浜商大高完封◎ 9回
7.28 (横 浜)決 勝◯14-3桐光学園完投◯ 9回
《平成10年選手権大会》登板6試合 / 6勝0敗 / 防御率1.17 / 投球回数54
8.11 (甲子園)1回戦◯6-1柳ヶ浦完投◯ 9回
8.16 (甲子園)2回戦◯6-0鹿児島実完封◎ 9回
8.19 (甲子園)3回戦◯5-0星 稜完封◎ 9回
8.20 (甲子園)準々決勝◯9-7 (延長17回)PL学園完投◯ 17回
8.21 (甲子園)準決勝◯7-6明徳義塾完了◯ 1回
8.22 (甲子園)決 勝◯3-0 (ノーヒットノーラン)京都成章完封◎ 9回
《41連勝中の松坂投手成績》
登板36試合 / 30勝0敗 / 防御率1.16 / 自責点34 / 投球回数263
※◎:完封 ◯:勝利
平成10年春=優 勝
平成10年夏=優 勝
(決勝ノーヒットノーラン)

甲子園通算成績
 11勝0敗
 選_抜5勝0敗
 選手権6勝0敗
 登板11試合
 完投10
 完封6
 投球回数99
 自責点11
 防御率1.00

公式戦41連勝 (横浜)
41連勝中の松坂成績
 30勝0敗
 登板36試合
 投球回数263
 自責点34
 防御率1.16

西武ライオンズ
ボストン・レッドソックス(MLB)
ニューヨーク・メッツ(MLB)
ソフトバンクホークス

日米プロ通算成績
 164勝103敗1セーブ
 73完投
 18完封
 8無四球
 2075奪三振
 防御率3.49
最多勝:3回(日本)
最多奪三振:4回(日本)
最優秀防御率:2回(日本)
沢村賞:1回

WBC 最優秀選手:2回
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