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[延長17回表]横浜
《延長に入って二度目の勝ち越しもモノにできずに落ち込む松坂。その肩を叩いて「オレが打つから」と励ましたのは常盤だった》この回の先頭打者4番松坂は気持ちを切り換えようと必死だったが、中途半端な打撃で捕邪飛に倒れて1死。続く5番小山は左飛を打ち上げて簡単に2死となる。6番柴も遊ゴロ、三者凡退と思いきや、今日は何故か動きの悪いPLの遊撃手本橋の一塁送球が高く外れる悪送球となって出塁、2死一塁。本来回ってこなかったはずの7番常盤に打順が回った。
《2死一塁、外野は間を抜かれないようにやや深めの守備位置。河野監督からPLバッテリーに「初球に気をつけろ」のゲキが飛ぶ。》巡り合わせとしか言い様がないことが起きたのはその初球だった。上重の投じたアウトコースの直球を常盤が狙いすましたように右中間へ弾き返すと、打球はグングン伸びてそのままスタンドに飛び込む値千金の2ランホームラン!先が見えなかった激闘のドラマを締めくくる一発である。横浜が2点勝ち越し。
[延長17回ウラ]PL学園
前半戦は完全にゲームの主導権を握り、延長に入ってからは再三のピンチを切り抜け、取られても追いつく粘りを見せて来たPLだが、この2点は余りにも決定的だ。反撃する気力を絞り出せないほど、精神的にダメージが大きい点の取られ方だった。5番大西が遊ゴロ、6番三垣が右飛で2死。そして松坂の投げた250球目、7番田中雅が見逃し三振で最後の打者となった瞬間、小山捕手が躍り上がるようにガッツポーズ!試合終了。17回を投げ切った松坂は精根尽き果てたという表情に薄らと安堵感が漂う。

横浜は翌日の準決勝・明徳義塾戦で松坂先発を回避、0−6とリードされた8回から世紀の逆転劇を演じ、さらに松坂が決勝戦ノーヒットノーランの離れ業を見せて春夏連覇を達成している。春夏ともに“松坂”横浜と互角に渡り合ったのはPL学園だけであることをつけ加えて、今回の名勝負シミュレーションを結ぶことにする。以下に掲載したスコアシートが横浜×PL学園の個人別の打撃成績・投手戦績を含む最終結果である。 スコアシート最終版
《スコアシートをあらためてよく見ると、横浜とPLのバント守備体系の違いが分かる》横浜の犠打は3回松本(2-3: 捕前犠打→一塁手)11回小山(1-3: 投前犠打→一塁手)14回松本(1-3: 投前犠打→一塁手)16回佐藤(2-3: 捕前犠打→一塁手)の4度。すべてPLの一塁ベースはそのまま一塁手三垣が入っていることが分かる。一方、PLの犠打は2回三垣の犠打野選は別として、2回石橋(2-4: 捕前犠打→二塁手)3回大西(3-4: 一塁前犠打→二塁手)11回本橋(1-4: 投前犠打→二塁手)16回平石(1-4: 投前犠打→二塁手)の4度、横浜の一塁ベースはすべて二塁手松本がカバーに入っているのだ。更に、6回の横浜堀のバント失敗(2-3: 捕飛併殺)で一塁ベースを踏んだのがPL一塁手三垣だったのに対して、9回PL大西が犠打を躊躇してストライクを見逃した直後に一塁走者古畑が誘い出されて憤死した場面(2-4-6: 捕手→二塁手→遊撃手・刺殺)、一塁で小山捕手の牽制球を捕球したのはやはり横浜の二塁手松本だった。横浜のバント守備は一塁手後藤も猛然と前進して打球を取りに行き、二塁手松本が一塁カバーに入るという基本体系を常に徹底していた結果である。この日、横浜の野手失策ゼロに裏づけられるように、守りの面でも横浜はPLを一枚上回っていたといえる。

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